私は3回転職をした経験があります。
最初に入社したのは日本企業で、完全に年功序列型の組織でした。
天下りの上層部と順番に出世していくシステムでしたが、給与は良く労働組合もしっかりと活動していたので、雇用に対する安定感は抜群でした。
私が配属されたのは経理部でした。
算数が苦手で経理など自分にできるはずはないと悲観的に思っていたのですが、実際に仕事を始めてみると経理の奥深さに日々やり甲斐を感じるようになったのです。
実力がある人程良い転職先が見つかる
しかし私は大学で学んだ英語力を活かせる仕事をしたくて、できれば英文経理を経験してみたいと思いました。
そこで入社5年目で外資系に転職をしたのです。
外資系ではほぼ全員が中途採用で、もちろん転職していく人も多かったのです。
そこで学んだのは当たり前のことですが、実力がある人程良い転職先が見つかるということで、私もそのような人材になりたいと思いました。
特に外資系では経理は非常に大切なポジションで、強い部門であることを知ったのです。
企業側から必要とされる人材になりたかった
キャリアアップをして転職をすることを夢見て、毎日自分の仕事だけではなく、他の人がどのような仕事をしているのかに興味を持つようにしました。
また、時間がある時には質問をしたりして広い知識を得るように自分なりに努力していました。
3年程経って会社が組織改革と共にオフィス移転の話が出てきて、いよいよ転職を考える時期が来たと感じました。
そこで転職をする為に履歴書や職務経歴書を作成して、転職活動を始めたのです。
その頃になると、自分の中で一つの信念を持つようになりました。
新卒の時や最初に転職をした時とは違い、「何もできませんが一生懸命やらせて頂きます」と言うのではなく、企業側から必要とされる人材になりたかったのです。
やる気をアピールしたことが裏目に出てしまった
そこで自分のキャリアだけではなく、やる気もアピールした方が良いのではと思いました。
目指す転職先は外資系の経理部ですので、少しでも有能であることを印象づける必要があるからです。
しかしそれが裏目に出てしまいました。
私が面接を受けたのは、さる有名外資系企業でした。
書類選考は無事通り、面接までこぎつけることができたのです。
面接官は5人、全員日本人で、経理部長という人もいました。
会社の概要を聞くと、外資系としては超有名ですが、スタッフはほぼ日本人のみということでした。
その面接の場で面接官は私の職務経歴書について「素晴らしいですね」と褒めてくれました。
「”何でもやりたい”なんて、あなたのような勝手な人に来られたら迷惑です!」
私は手応えを感じて、今までやってきたことの他に、更にキャリアアップを目指したいことを強くアピールしたのです。
「昨日より今日、今日より明日という気持ちで、最初は基本的な仕訳から始めて、出来ればP&LやB/Sなどもできるようになりたいと思います」と熱弁しました。
ところが、相手の経理部長がその言葉に対して絡み始めたのです。
「うちでは完全に縦割りの仕事をしています、他の人の仕事に関わることはありません」
そこで私は、「あくまで将来的な目標で、もちろん与えられた仕事を確実にこなしていきながら色々覚えていきたいと思っているだけです」
しかしその瞬間、経理部長は怒りだしたのです。
「だから、人の仕事は関係ないって言ってるでしょ!仕事はチームワークなんですよ、
“何でもやりたい”なんて、あなたのような勝手な人に来られたら迷惑です!」
私はもうどうして良いか分からず、「それじゃあ、ご縁がないということで」と早々に退散しました。
やる気を見せるために「何でもやりたい」と言うのか、「与えられた仕事を一生懸命やります」と言うのか
その時は「面接で相手を怒らせてどうする!?」というショックが大きくて動揺してしまいました。
今から思えば私はもっと相手に対して怒り、三行半を付けても良かったのかもしれません。
「やる気を見せることが大切」と転職のノウハウではよく言われていることです。
そのやる気を見せるために「何でもやりたい」と言うのか、「与えられた仕事を一生懸命やります」と言うのか、それは応募した相手の会社の体質によるところが大きいと言えます。
因みに私はその後他の有名外資系企業の日本支店の面接に無事合格し、しっかりとキャリアを磨くことができました。
そこはやる気を見せた人にチャンスを与えてくれるという体質の会社でした。
著者プロフィール
現在は主婦。趣味はバンド活動、同人誌活動。
好きな言葉「シカも四足、馬も四足」・・やってできないことはないの意で 人生経験で無駄なことは無いと思っています。
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