こんにちは、はせおやさいです。
今回、縁あってこちらでコラムを書くことになり、自分の転職経験についても振り返る機会となりました。わたし自身、転職回数が、かなり多い方です。いろんな会社を経験してきましたし、さまざまな人と一緒に働いてきました。
なので、転職相談を受けることも多いのですが、わたしもプロではないので、自分の中に答えがあるものと、ないものがあります。
今回は、わたしなりの回答がある、「上司が使えないから今の会社を辞めたい」という悩みについて、書いてみようと思います。
イケてない上司の下はつらい
この人、いまいちだなと思う人の部下として働くのは、ほんとうにつらいです。上司の仕事というのは、プロジェクトの意思決定であったり、部の予算を取ってくることであったり、影響範囲が広い。その人の判断や価値基準がズレていると、チーム全体が不利益を被るという状態になってしまいます。
自分が上司になって、プロジェクトメンバーを選べる立場になれればいいのですが、部署異動やチーム編成など、自分では選べないことも多々ありますよね。そんな状況を何度か経験して、非常にフラストレーションを感じていたのですが、あるとき、こんなアドバイスをもらいました。
「上司も自分に与えられたリソースだと考えて、お前のやりたいように動かしてみれば?」
つまり、受け身のままで、上司からの指示を受けて働くのではなく、自分でベストだと思う選択肢や方向性を考え、上司をうまく動かして、その方向に導いてしまえばいいのだ、と。正直、なかなか難しい課題でしたが、いくつかのコツがあることに気付きました。
上司を動かすテクニック
まず、「なぜその判断がベストなのか、相手がなるほど、と思えるまで丁寧に説明する」。
プレゼンテーションのテクニックにも通じますが、「相手に伝わる言葉と粒度で、何度でもロールバックして、理解してもらえるまで何度も言う」ことが大切。
「なんでこの説明で理解できないの!」と苛立つこともありましたが、知識や経験が足りない人にでも伝わるように噛み砕けていない=自分自身でも意見の精度を上げきれていないのだと思い直し、上司に説明する前に、まったく関係ない部署の新人さんに説明を聞いてもらったり、業界の違う友人が理解できる程度まで平易な表現を選んで言葉を組み立てたり、「伝える」ことの良い訓練になったかと思います。
そして「相手のメリットになりそうなポイントを入れる」。
上司を動かすときに限らず、他者を自分のやりたい方向に誘導するためには、自分の得だけを追ってもうまくいきません。他者との共犯関係が成り立つのは、利害が一致するとき。自分の提案するアイデアを採用すれば、上司のメリットになること…例えば売上が上がる、数字が改善する、スケジュールが短縮する、コストが抑えられるといった具体的なメリットに加えて、「あなたの手間が減りますよ」というようなことを強くアピールしましょう。
チームの数字が改善したり、売上が伸びても、自分の手間が増えることを嫌う人は多いです。それを回避するために、「全体にとってもいいことがあり、あなた自身にとっても、こんなプラスがある」というのを考えて盛り込み、強くアピールしましょう。
もちろんこれら以外にもたくさんコツはあると思いますが、要するに、上司であっても「取引先へプレゼンするのと同じように、戦略を立て、丁寧に伝え、相手に対して分かりやすいメリットを返す」提案をすることで、かなり仕事がしやすくなりました。
「社外」に仲間をたくさん作る
とはいえ、どんなにメリットを提示して「これ以外にベストの選択肢はない」というところまでこちらがお膳立てをしても、単純な「自分のメンツ」を気にしたり、その日の気分なんかでどうしても動いてくれない人がいます。
もっとも大切なのは「いま自分が所属している組織の利益のためにベストを尽くす」ことですが、同時に、自分自身の可能性を常に確保し続けるためにも、「外」に仲間を作っておくことも必要です。
「外」というのは「チームの外」「部署の外」「会社の外」など、「いま自分が所属しているかたまり」意外の仲間、という意味です。
仕事をしていくと、必ず何らかの問題や困難にぶつかります。そういったとき、他のチームはどうやって問題を解決しているか、自分たちの部署では見つけられない解決案を持っている人はいないか、会社をまたいで、業界や市場を広く見渡した議論が出来る相手はいるか。自分だけでは見つけられない情報の流入経路があるかどうかを振り返ってみましょう。
仲間で固まり、ジャーゴン(仲間にだけ通じる特殊用語)でコミュニケーションを取るのは確かに気楽で、意思の疎通もスピーディです。それを否定するつもりはないのですが、一方で、「自分だけでは見つけられない多くの視点を持っておく」というのが、より多くの選択肢を得ることにつながるのではないかと思います。
選択肢が増えることは、可能性を増やすこと
選択肢が増える、ということは、つまり可能性が増える、ということです。
ただやみくもに自分だけで考え試行錯誤して煮詰まるのではなく、壁にぶつかったときには、自分の「外」に答えがあると念頭に置いて、より遠くの視点を持つ相手との接点を増やすように意識してみましょう。
また、その「複数の視点とつながり」は、いつかその「使えない上司」が異動したとき、または、逆にあなたが別の部署へ異動したとき、必ず役に立つのではと思います。
「仕事」は1つですが、
「会社」は1つではありません。
わたしたちがするのは「就社」ではなく、「就職」です。つまり、自分がやりたい、得意だ、という仕事は1つかもしれませんが、その仕事をやれる「会社」は1つではない。もちろん、気軽に職場を移ることのデメリットもありますが、どんな会社に入りたいかではなく、どんな仕事をしたいか、何のプロフェッショナルになりたいのか、という視点で考えてみましょう。
自分の未来を決めるのは自分
「上司が使えない」「同僚がバカだ」「経営陣は何も考えてない」という不満は、どんな立派な会社にでもきっとあって、転職をして、職場や会社を変えたとしても、起きる可能性があることです。
そこでストレス発散目的以上に愚痴を吐いたり、誰かを悪し様に罵るよりも、自分がやりたい仕事をするためには、今、どんなことがやれるのか?を考え、実行する。そして、今いる場所でこれ以上やれることはない、というのであれば心おきなく違う場所に移る、という決断ができる選択肢を持つために、日頃からできる限りのことをしておくほうが、生産的ですよね。
「備えよ常に(Be prepared)」というボーイスカウトの標語がありますが、ただ単に不満を言い続けるだけではなく、より良い自分の未来のために、やれることを今から初めてみる、というのも大切なのではないかと思います。
今日はそんな感じです。
チャオ!
著者プロフィール
はせ おやさい
会社員 兼 ブロガー。
はてなブログ(id:hase0831)を中心に活動。好きなものはお酒と読書とインターネット。本業ではWeb業界のベンチャーをうろうろしています。一般女性が仕事/家庭/個人のバランスを取るべく試行錯誤している生き様を、ブログ『インターネットの備忘録』で綴りつつ、「サイボウズ式」にてブロガーズコラム連載中。
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