- 2020-3-17
- 飲食業の転職
今回は、飲食業の問題点と転職について、私の経験談を基にまとめてみたいと思います。
まず私自身の経験を簡単に紹介させていただきます。
- 年齢/性別 46歳/男
- 飲食業歴 23年
- 職歴
- 全国チェーンファストフード店(フランチャイズ)店長及びエリアマネージャー
- 他社(メンテナンス会社)への出向(自社の事業領域拡大のため)
※途中でプロジェクトが中断され、自社へ戻る - 直営イタリアンレストラン部門店長及びエリアマネージャー
- 転職し、個人経営の日本食レストラン店長
飲食業一筋とはいえ、転職含めて比較的いろいろな経験を重ねてきていると自負しています。
では本題に入りたいと思います。
飲食業と言えば、比較的誰でも就職しやすい反面、労働環境が過酷等のイメージもあると思います。
飲食業への転職を考える前に、まず飲食業で働く上でのメリット、デメリットを整理していきます。
飲食業で働くメリット
飲食業で働くメリットには、以下のものがあります。
①資格不要
資格等はなくても、比較的簡単にできます。
飲食業界は、ここ数年深刻な人手不足になっているため、未経験でも多くの正社員募集があります。
ステップアップして月収40万円以上得られるケースもあるので、今はチャンスですね。
②比較的簡単に店長になれる
会社によっては、入社1年目から店長を任されるところもあります。 私は、3年目から店長を任されました。
③店長になれば、それなりの権限を持てる
特にスケジュール管理の権限を得られれば、ある程度自由に自分の休みを設定できます。
エリアマネージャーなら、もっと自由に働く時間を設定できます。
④アルバイトなど、労働力となる人員を揃えることができれば、楽をできる。
アルバイトを味方にすれば、店長は多少サボっていても文句を言われません(やりすぎると危険ですが)。
私もアルバイトが足りている時は、昼過ぎに出勤し、夕方帰宅など、随分と楽をした覚えがあります。
⑤独立しやすい
私がいた会社では、最初から独立を目指して働いていた人もいました。
飲食業で働くデメリット
一方でデメリットも以下のようにあります。
①勤務時間が不規則
長時間営業や、24時間営業している店舗などがあり、勤務時間が不規則になるケースが多いです。
また、業務の多くをアルバイトやパートに頼っているため、アルバイトやパートで埋まらなければ、その分、正社員が負担することになり、必然的に勤務日数や残業時間も多くなってしまいます。
②店長やエリアマネージャーは名ばかりの管理職とされやすい
責任ばかりが重くなり、給与は安い、残業手当はつかないなどの会社もあります。
③給与が安い
他業種と比較して年齢層が低いこともあり、給与も安い傾向があります。
私も他業種へ就職した同級生と比較すると、一時期まではずっと給与が安かったです。
④労働力の多くをアルバイトに頼る為、不安定
アルバイトが不足すると、社員、特に店長の負担は激増!
私は過去に1ヶ月間休みなしということも経験しました。
20代であれば、気力で乗り越えられますが、30代にもなると正直かなりきついですね。
以上のように飲食業で働くメリット、デメリットを整理してみました。
もちろん全てが当てはまる訳ではなく、会社によっては、メリットが多く、デメリットの要素が少ないところもあります。
次に、飲食業を転職先として検討する上で、一番の問題点である、「飲食業がブラック企業になりやすい理由」についてまとめてみました。
飲食業がブラック企業になりやすい理由
飲食業にはブラック企業と言われる会社が多いのですが、その理由をまとめてみました。
①長時間労働
労働力の多くをアルバイトに頼らざるを得なく、人員が不安定になりがちです。アルバイトがいなければ、必然的に社員が不足を埋めることになり、長時間労働を強いられることに!
②過剰な責任
店長やエリアマネージャーは、(名ばかり!)管理職として、本来会社施策の問題からくる売上不振や、利益減少の責任までも追及されることが!
私も「すぐに売上を上げろ、利益出せ!」など、理不尽なことを要求されたことがあります。
③閉鎖的な店舗環境
オフィスなどであれば、互いの部署の状況を多くの社員が共有しやすいが、店舗という小さな空間では、密室に近いような状況に陥りやすく、不当な状況を見過ごされやすいです。
④無理な出店
飲食業は、好調になるとすぐに店舗を増やす傾向が高い(良い立地があると、他社に先を越されまいと考える為)です。十分に教育を施された人員が揃っていれば問題ないですが、人員不足、教育不足の状況であっても、出店を優先されてしまいがち。
私も、人員不足の中、ハイペースで無理な出店をさせられた経験があります。
⑤創業者の根性論
飲食業が起業しやすい業態であるため、創業者が一代で作り上げた会社が比較的多いです。そしてその創業者が苦労人であると、自らの成功事例を基にそれを従業員にも強要しがちに!
もし飲食業に勤めている方で、自分が所属している会社に、上記の事柄に該当することがいつくもあれば、転職を検討することをおすすめします。
飲食業に転職する上で気を付けること
飲食業への転職は比較的容易なことから、簡単に転職先として選びやすいですが、いくつか転職先をリストアップし、しっかりと検討すべきです。もちろんこれは、飲食業に限らず言えることでもあります。
その為に、検討すべき事項をまとめてみました。
①自らの状況を客観的に見る
まずは、本当に転職が最善の選択肢なのかどうか、「となりの芝が青く見えている」だけではないのか、考えるべきです。問題点が会社ではなく自分にあるのであれば、転職しても問題の解決には繋がりません。
②安定を求めて安易に大手を狙わない
全国チェーンの大手企業だからと言って、労働環境がよいとは必ずしも言えません。むしろマニュアルが細かく、仕組みが出来上がっている分、人は機械的に動くことを強要されるケースも。
悪しき慣習が根付いている可能性もあります。都道府県をまたぐような転勤も多いです。
私の友人がまさにこのパターンで、とても苦労して、結局体調を崩し退職してしまいました。
③業績が急成長している会社は、要注意
たまたまブームに乗って業績が上がっているだけで、現場は疲弊しているケースも。ブームが終わればリストラの嵐になることも。何度か店舗を利用してみるなど、現場の状況をよく見てから考えるべきです。
④店舗数の少ない小規模会社でもよい会社はたくさんある
もちろん内容を精査する必要がありますが、長く続いている老舗で、規模が小さいながらも安定している会社の中には、非常にアットホームで従業員を大切にしている会社が多いのも事実です。
私の転職はこのパターンで、確かにキャリアアップは難しくなりますが、安定と家族とのプライベート時間の確保、収入アップという点では、とても良かったと思います。
⑤家族からの理解を得ること
他業種から飲食業への転職だけでなく、飲食業から飲食業と同業種への転職であったとしても、家族の理解は必要不可欠です。飲食業というある意味特殊な業種は、家族のサポートや理解も絶対に必要。
仮に結果が変わらないとしても、事前に理解を得ておくかどうかで、家族のサポートの度合いは大きく変わってきます。
飲食業への転職は、メリット、デメリットがあり、それらを事前によく理解しておく必要があります。現状に不満があれば、失敗を恐れて我慢するよりもチャレンジする価値は十分にありますが、安易なチャレンジは自らの首を絞める結果になりかねません。
飲食業という業種の特性をよく理解し、自分に合った転職先を見つけることができれば、将来の幸せにもつながるはずです。
著者プロフィール
こてつ
飲食業歴23年。直営イタリアンレストラン部門店長及びエリアマネージャーを経て、現在は個人経営の日本食レストラン店長。
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