- 2020-3-19
- 飲食業の転職
甘いケーキに囲まれて仕事をするという、きらびやかなイメージのあるパティシエの世界。
そんなパティシエ業界への転職を検討する方の中には、「実際に働くには専門学校を出なきゃいけないんじゃないか」と悩む方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、未経験でも十分にパティシエとして働くことができます。しかし、厳しい世界だということは事実です。そこで必要なのが、今回紹介する5つの心構えになります。これらをあらかじめ心に留めておくことで、パティシエとしての日々の仕事の生産性が格段に上がりますよ。
パティシエとして働きたいと考える皆さんはぜひ1度目を通し、参考にしてみてくださいね。
未経験者でもパティシエとして働くことができる?
冒頭にも書いたように、未経験者でも十分に働くことができるパティシエ業界。本記事を書いている私も、過去に専門学校に通わず、全く未経験の状態からパティシエとして働き始めました。
さらに、現在パティシエとして働く若者は年々減ってきています。そのため、若く情熱がある人材の需要は十分にあると考えて良いでしょう。
まれに「製菓専門学校を卒業している人」「多少でもパティシエとしての経験がある人」など、一定の条件を設けているお店もあります。ただ、これらはごく僅か。基本的には、経験年数や資格の有無は採用基準にはなりません。
パティシエとして働く際の5つの心構え
未経験でも働けるパティシエ業界とは言えど、厳しい世界であることは確かです。ある程度の覚悟がないと長く続けることは難しいでしょう。
では早速、この項目から未経験者に必要な心構えをご紹介していきます。
忙しい
まず一番に、時期によってはとにかく忙しいということを心得ておきましょう。中でもクリスマスは年間を通して最も激務になります。私が働いていたお店では、数日設けられたケーキの受け渡し期間中は、毎朝4時半頃〜日が変わる直前まで仕事をし続けていました。
もちろんお店によって大きく差があるとは思いますが、人気店はもちろん、お店の規模が小さく人数が少ないほど忙しい傾向にあります。
クリスマスの他に、以下の時期も比較的忙しい期間になります。
- バレンタインデーとホワイトデー、母の日など
- 卒業式・入学式、結婚式などのお祝い事(主に春)
- ハロウィンなどのイベント
ちなみに、このような時期の転職はあまりおすすめできません。教えながら作業する余裕がない、というお店がほとんどだからです。
その一方で、夏は客足が遠のく閑散期。この時期を狙って入社すると、丁寧な指導が行き渡るでしょう。
技術>年齢
実力のある人からどんどん昇格していくのがパティシエの世界です。そのため、年齢よりもスキルや効率よく仕事を進められる人が上の立場になることがほとんどです。
また、中には専門学校に通わずに、高校卒業と同時に店で実践的な技術を覚えながら修行している若手のパティシエもいます。時には自分よりも若いパティシエが先輩になることもあるので、年齢にこだわりを持つことはやめましょう。
言い換えれば、競争が激しくモチベーションに繋がりやすい職場環境とも言えるので、情熱とそれに伴う体力のある方にはぴったりの世界だといえるでしょう。
実際に、明確な目標を持っている人は効率良く技術を習得し、また新たな目標へと動き出します。
何事も積極性が必要
正確に生地を絞ったり、素早く焼き菓子を焼き上げたり….パティシエの職場には職人たちが集まり、日々黙々と同じ作業を繰り返しています。そのため、しばしば「話しかけづらい」と感じる場面に出会うでしょう。
しかし、この場面を遠くで見ていたり疑問に思ったことを質問せずにいると、何も学ぶことができません。しっかりとタイミングを見計らって質問し、積極性を忘れないよう心がけましょう。
シェフは特に、若手の積極性をよく見ています。常にやる気のある姿勢で何事も取り組んでいると、新しいことを任されるきっかけになるかもしれません。
給与面はあまり気にしない
通常のサラリーマンや会社員と比較すると、給与面にあまり期待はできません。初任給は平均して20万円未満が当たり前と考えて良いでしょう。
なかなか厳しい給与での生活を、情熱で乗りきれる方もわずかにいる中で、「お金も貯めながら、働いていかなきゃきゃいけない」という方がほとんどではないでしょうか。そのような方は、自分の気持ちのバランスと働く期間などをあらかじめ見極めておきたいところです。
ただ、最近は給与や働き方を大きく改善しているお店も多くあるようです。
パティシエという業界を選ぶことを後悔しないためにも、入社する際に重視したいポイントを決めておきましょう。
はじめからお菓子に触れられるわけではない
タイトルの通り、はじめからケーキの飾りや焼成を任せてもらえるわけではありません。お店によっては、接客業や包装の方法を一通り覚えてからようやく厨房に入れるというところもあります。
また、ある程度さまざまなことを任されるようになっても、すべての作業に体力が必要です。高温の銅鍋でカスタードを炊いたり、ずっと腰をかがめて生地を絞ったり、大量の生地をかき混ぜたり….男性でも疲れてしまう作業なので、女性は入社の前に少し体力作りをしておくことをおすすめします。
未経験者の場合、就職活動ではどんなことを重視される?
未経験者の場合、悩んでしまうのが面接での受け答えやアピールポイントですよね。しかし、冒頭で書いたように資格や現時点での実力はあまり問われません。
どんなことを重視しているかは以下の通りです。実際に私が転職の際に面接で聞かれたことや経験をもとにご紹介します。
なぜパティシエの道に進もうと思ったのか
全くの未経験から入社を希望するのですから、絶対聞かれるのがこの質問です。しっかりと明確にさせておきましょう。
また、前職について聞かれることも多くあります。そのような場合は、できれば「前職で得たスキルをしっかりとパティシエに活かすことができる」という点に繋げたいところです。
→『お菓子は科学』と言われるように、少しの材料や分量の違いで大きく変化する味や焼き色などを論理的に探求することができる、など
このお店で働いた後はどのような目標があるか(お店を出したい、など)
お店に入ったらどのようなパティシエになりたいかという質問はもちろん、その後の目標も聞かれることがあります。
「コンクールで賞をとりたい」「お店を出したい」など、目標は人それぞれですが、あらかじめスラスラと話せるよう明確にしておきましょう。質問をする側のシェフや業界歴の長いパティシエはこの世界の厳しさを知っているため、明確な目標がないと続けられないということも十分に感じているはず。
どのくらい自分の情熱を伝えられるかが、採用のカギになります。
ある程度体力が必要になる仕事だが大丈夫か
基本的に立ちっぱなしのパティシエの仕事は、まさに体力勝負です。日々の重労働に忙しい期間の残業などが重なると、仕事が終わる頃にはもうヘトヘト…ということも少なくありません。
いくらやる気があっても、体がついてこないと仕事が成り立たないパティシエ業界。そのため、このような質問に対して弱気な態度でいると、採用基準から大きくそれてしまいます。しっかりと「体力には自信がある」という旨の内容を伝えましょう。
まずはアルバイトとして働いてみるという選択肢も
これまでの項目を見て、「なかなか厳しそうだな…」と感じてしまった方もいらっしゃるかと思います。実際に、飲食業は続かないと囁かれているのを懸念して、なかなか就職に踏み切れない人が多くいるのは事実です。
そのような方は、まずホテルや大手企業などでアルバイトをしてみるのもひとつの選択肢です。
繁忙期であれば、短期間で募集しているところも多くあります。
アルバイトから始めるメリット
アルバイトとしての経験を積んでおくことで、以下のような3つのメリットがあります。
自分の適性を見極める機会になる
未経験の身からすれば、パティシエの世界はとても専門的で分からないことばかりのはず。そんな厳しい世界にいきなり飛び込むと、人によっては「あ、やっぱり合わないかもな…」と感じることもあるでしょう。
そのため、ゆくゆくは正社員になることを見越しながら見習いとしてアルバイトをすることは実際にもよくあることです。まずは短期間働いてみて、自分の適性と向き合ってみましょう。
就職の際に役立つ
現場での経験があるということは、就職にとても有利になります。実戦で磨いた技術は何よりもアピールポイントになるのです。
また、相性が良い場合やご縁があれば、そのお店にそのまま入れることも。
働きたいお店であれば、自分の熱意や頑張りを見てもらえる良い機会になります。
経済的な余裕も生まれる
「サラリーマンをしているけど、経済的にやめるわけにはいかない」という方は、休日に技術を習得しにアルバイトをするというパターンも多くあります。日にちが限られているためある程度の技術の習得には長い期間を要してしまいますが、精神的にもバランスがとれた状態で働くことができるでしょう。
まとめ
以下、未経験者がパティシエとして働くために必要な5つの心構えになります。
- 忙しい
- 技術>年齢
- 何事も積極性が必要
- 給与面を気にしない
- はじめからお菓子に触れられるわけではない
未経験者にとってパティシエ業界は非常に厳しい世界ではありますが、とてもやりがいのある仕事です。情熱と「お菓子やケーキが好きだ」という気持ちを忘れずに日々作業と向き合うことで、未経験でもきっと素晴らしいパティシエになることができますよ。
本記事をきっかけに、「未経験でも頑張ってみようかな」と、パティシエ業界への転職を前向きに捉えていただけますと幸いです。
著者プロフィール
Bolo
パティシエとして8年働いています。専門学校にも通わず、未経験からパティシエになることができました。
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